資格喪失

育児休業の給付金を受給している間に被保険者資格を喪失してしまったらどうなるのでしょうか。
育児休業の給付金の支給期間の途中で、離職することにより被保険者の資格を喪失してしまったらその月は支給対象から外れてしまいます。
支給期間の末日において離職した場合は、支給期間中は支給対象なので事業主や本人が申請すれば受給可能です。

離職したけれど、その後1日も間をあけずにすぐに次の職場へ就職した場合は、受給資格は継続されます。
ですから離職して、再就職した月も支給対象となります。
この場合の支給申請は再就職した側の事業主か本人が行います。
ただし離職前の事業主による賃金などの支払がある場合は、離職前の事業主の確認印を必要とします。

離職して、その後1日以上の間を空けて次の職場へ就職した場合は、その支給期間は支給対象となりません。
再就職した事業主から再度受給資格の確認をしてもらいましょう。

育児休業者の職場復帰給付金の手続きについては、支給申請書を提出します。
提出先は、事業所がある公共職業安定所です。
提出時期は、育児休業の基本給付金の際の支給対象である、育児休業が終了して6ヶ月間雇用された日の次の日から2ヶ月後の末日までです。
支給決定書により支給の可否や支給額などが通知されます。
支給決定してから1週間程度で指定した本人名義口座に振り込まれます。

育児休業については、給付金や勤務時間など様々な支援が行われています。
きちんと制度を活用して、家庭と仕事をうまく両立して家庭生活をエンジョイしていただきたいと思います。

受給支給申請

育児休業基本給付金を申請する際はまず「受給資格の確認手続き」を行います。
この手続きの際に提出する書類は、雇用保険被保険者の育児休業開始時における賃金月額証明書と育児休業給付の受給資格確認票です。
添付書類としては、賃金台帳や出勤簿、母子手帳の写しなどの育児している事実を証明するものが必要です。

提出先は当該事業所の所在地を管轄している公共職業安定所に行います。

提出期限は育児休業の開始日の翌日から計算して10日以内に行う必要があります。
事業主が支給申請の手続きを代行して行ってあげる場合については、初回の支給申請書と同じ育児休業の開始日から4ヶ月以内で大丈夫です。

受給資格の確認や通知は、受給資格が認められる場合については、育児休業給付の受給資格確認通知書が被保険者に届き、育児休業給付の次回支給申請日の指定通知書が事業主に届きます。
受給資格が認められていない場合については、育児休業給付の受給資格否認通知書というものが被保険者に届きます。

支給申請手続きに関して必要な提出書類は、育児休業基本給付金の支給申請書です。
添付書類としては、賃金台帳や出勤簿などです。
提出先は受給資格の確認手続きと同様です。
提出時期として、最初の支給申請については、支給を受けようとしている対象期間の初日から計算して4ヶ月以内に行います。
2回目以降に関しては、公共職業安定所長が定める支給申請日となります。
支給の決定に関しては、支給決定通知書によりその可否や支給額や次回の申請日が通知されることになります。
支給方法は、受給資格確認票に記載した本人名義口座に振り込まれます。
支給が決定してからおよそ1週間で振り込まれます。

復帰しない場合

育児休業を取得して、育児休業中に育児休業基本給付金を受給した場合に、期間終了後職場復帰しなかった場合はどうなるのでしょうか。
産休でもそうですが育児休業前は仕事に復帰するつもりでも、実際に育児を開始してみたら事情が変わってしまったなんてことはよくあることだと思います。
その場合すでにいただいている給付金はどうしたらいいのでしょうか。
返却する必要があるのかないのか考えてみましょう。

まず育児休業基本給付金と、職場復帰後にもらえる育児休業者の職場復帰給付金があります。
育児休業基本給付金は、育児休業期間中に生活費の補助としてもらえるようなお金です。
育児休業者の職場復帰給付金は6ヶ月間復帰したことに対するご褒美のようなものとしてもらえるお金です。

どちらも出産後育児をしながら働き続けている人へのサポートのためにあるものです。
ですから働く予定を辞めてしまって、復帰しないことは事業主側にとっても望ましいことではありません。
しかしながら、既に給付されている育児休業基本給付金を返却するということにはならないと思います。
当然まだもらっていない育児休業者の職場復帰給付金についてはもらえません。

ひとつ注意が必要なのが、育児休業期間の健康保険料厚生年金は半額の本人負担分は免除になっていますが、会社側負担の半額は支払われています。
忘れないであげてください。
復帰しないということは、このようにして迷惑を多かれ少なかれかけるものなのです。
職場復帰しない場合でも住民税は前年度分が翌年に請求が個人宛にくるので通知がきたらきちんと支払いましょう。

勤務時間短縮の具体例

先程も述べましたが、育児・介護休業法には育児休業を取得していないけれど満3歳未満の子を養育している労働者に対して勤務時間などに配慮しなければならないと定められています。
また育児休業期間終了後に職場復帰した労働者に対しても、子が満3歳になるまではまだ小さいため配慮する必要があります。
また小学校就学前までもこれに準ずる措置が必要です。
そこでこれらの勤務時間短縮についてなど具体的な策をあげます。

勤務時間を短縮するための具体的策として、短時間勤務にするというものです。
それは一日の勤務時間を短くするということです。
他には週単位あるいは月単位での所定労働時間を短くするということです。
これは隔日勤務にしたり、曜日を指定したりしてその曜日だけ勤務するという形です。
労働者側が働かない日や働かない時間を個々に請求して認めてもらうという形です。

勤務時間を短縮するための具体的策として、次にあげるのはフレックスタイム制です。
子を養育していると朝の時間が忙しかったり、逆に夕方早く帰りたかったりと子にあわせた都合があるので、フレックスタイム制があると便利だと思います。

続いての具体的策としては、先ほどのフレックスタイムと少し似ていますが始業時間と就業時間を繰り上げたり、繰り下げたりして微調整するというものです。
あるいは所定外の労働をさせないというのも大事な時間短縮になります。
託児施設を事業所内に設置したり運営したりというのも、安心して子を預けて仕事ができる環境作りとなり、子の迎えの時間も気にせずすぐに会いに行くことができます。
ベビーシッターの費用を事業所が負担するという策もあります。

このようにして勤務時間短縮するための策はたくさんあります。
実際に自分が働く事業所にどのような策が実施されているか確認して、ぜひ有効利用しましょう。

不利益な取り扱い

平成17年の育児・介護休業法の法改正によって、労働者に対する不利益な取り扱いの禁止事項が第10条や16条に記載されました。
それによると事業主は育児休業や介護休業あるいは子の看護休暇などの申請をした労働者に対して、育児休業などの申請をしたこと、あるいは取得したことを理由にして解雇したり、その他労働者の不利益になるような取り扱いをしたりすることはできません。
法律によりしてはいけないこととなっています。
してはいけないこととは、事業主が育児休業や介護休業、看護休暇の申出や取得と因果関係がある解雇などの不利益な取り扱いをする行為を示しています。

具体的に不利益な取り扱い例を挙げます。
一番大きなこととしては、労働者の解雇です。
次に期間雇用者の場合は、契約更新をやめて、事実上の解雇に結びつかせるということです。
あるいは元々契約の更新回数を明示して上限を定めていた場合にその更新回数を減らすことです。
労働契約の内容自体を変えさせてしまうものもあります。
それは退職あるいは正社員なのに非正規社員であるとするような契約内容変更を強要するものです。
また自宅待機を命じたり、あからさまに降格させたりすること。
給与を減給して、賞与に関しても不利益な算定をすること。
労働者の不利益になると思われる配置転換をすること。
あからさまに就業環境を害すような行為をすること。

このように労働者に対して様々な不利益な取り扱いが実際に行われることがあります。
広く育児休業について周知徹底をはかり、周囲の協力の下、子を養育しながら就業生活を送れるようにしてほしいものです。

看護休暇

子の養育をするために育児休業を取得できても、それは子が満1歳あるいは事情により1歳6ヶ月までしか認められていません。
しかしながらその後すぐに職場復帰しても、子はまだ2歳、3歳と小さいです。
小さい子の体調は変わりやすくよく熱をだしたり病気をしたりします。
就業と家庭の両立を図る上で大事なこととして、子が病気の際に休みやすい環境作りをすることも大切なことです。
これらがきちんと整備されていないと、育児休業を取得してその後職場復帰をしようと考える労働者が激減してしまいます。

育児・介護休業法では子の看護休暇についても記載されています。
第16条の2と3の事項です。
平成17年の法改正によって、子が病気やケガをした場合に看護するために休暇を取得することが1年に5日までできるようになりました。
対象は小学校就学前の子の養育をしている労働者です。
取得する際は、事業主に対して申出を行わなければなりません。
申出は口頭でも認められますが、書面の方が丁寧だと思います。
申出をされたら事業主側は、仕事が忙しい時期だからとかその他理由をつけてこの看護休暇を拒むことはできません。
しかしながら勤続月数が6ヶ月未満である労働者に対してや所定の労働日数が2日以下である労働者に対しては対象外となります。
これ以外の条件、例えば労働者の配偶者が専業主婦であるなどの理由による場合は対象外にはなりません。
これは労使協定により定められています。

紛争の解決

育児休業を取得することに関して、あるいは育児休業取得後の就業形態についてなど、事業主と労働者の間で話がまとまらず紛争になる場合があります。
これらの紛争の解決に対しても、育児・介護休業法に記載されています。

事業主は今までに述べたような育児休業に係る事項において、労働者から苦情の申立を受けたら苦情処理機関などを間に挟むなどして苦情処理をするために自主的に解決に努めなければなりません。
苦情処理機関とは、事業主の代表者や事務所の労働者側の代表者などで構成する、当該事務所で発生する労働者の苦情処理を行う機関です。

労働者と事業主の間で紛争がおきた場合、個別労働関係紛争解決促進に関しての法律による規定は用いないでその他の解決策をとります。
それは、当該紛争の事業主か労働者のどちらか一方にでも援助を求められた場合、都道府県の労働局長は、当事者に対して助言したり、指導したり、ときには勧告したりすることができるというものです。
このような紛争がおきた場合、事業主においては労働者が労働局長に援助を求めたからと言って解雇したり、不利益な取り扱いをしたりしてはいけないことになっています。

しかしながらここまで行く前に、労働環境を整備して、もめごとなく育児休暇を取得しやすい、育児休業後も職場に復活しやすい雰囲気作りをしていってほしいものです。
そうしなければ、育児休業自体が取得しにくいものとなり、退職者が続出してしまうと思います。

国の支援

国の育児休業取得者や子の養育を行っている労働者に対する支援についても、育児・介護休業法の第7章に記載されています。
まず国は子の養育を行っている育児休業労働者や育児のために退職した労働者に対して雇用継続や再就職の促進やこれら対象者の福祉増進を図るため必要な援助を行います。
具体的にはこれらの労働者が働いている事業所への雇用管理や再雇用の特別措置に関する相談や助言をしたり、給付金を支給したりする援助のことです。

さらに国はこれらの労働者が職業と家庭生活の両立を図れるように、必要な指導や講習を行ったり、相談に乗ったりするなどの措置をとります。
地方公共団体においても、この国が講ずる措置に準ずる措置を講じる必要があります。

国は育児をするために退職した退職者に対して希望すれば再雇用の機会が与えられるように、職業指導を行ったり、職業能力の再開発や職業の紹介を行ったりして育児退職者が円滑に再就職できるように援助します。

これらの労働者が職場と家庭生活の両立を図るために、職場に妨げとなる慣行があったら解消し、また特別な阻害要因があればそれらを解消するため事業主や労働者さらに一般国民に理解を求める広報活動を行います。

これらの対象労働者が、職場と家庭生活の両立を図るために相談に乗ったり、指導を行ったり、講習や実習を行ったりできるように必要と認めれば、地方公共団体は勤労者家庭支援施設を設置する必要があります。
国はこの施設に対しての助言や指導、その他運営に関する援助なども行います。

勤務時間短縮

その他にも育児・介護休業法では、育児休業を取得していない労働者で子を養育している者に関しての配慮事項を記載しています。
1歳に満たない子を養育している労働者に対して事業主は、育児休業を申請していない場合でも勤務時間の短縮やその労働者が就業しながら養育をしやすいように措置を講じなければならないとしています。
これは厚生労働省令にも定められています。
この措置は1歳から3歳未満の子を養育している労働者に対しても育児休業の制度に準じた対応をするようにと規定しています。
また3歳から小学校就学前の子を養育している労働者に対しても育児休業の制度や勤務時間の短縮措置に準じた対応を必要に応じて講じなければなりません。

育児・介護休業法の第27条においては、再雇用に関しても配慮するように記載されています。
妊娠や育児などを理由に退職した人に対して事業主は必要に応じて、再雇用の特別措置などを講じなければなりません。
再雇用の特別措置とは、育児などを理由に退職した人が退職するときに、就業がいずれ可能になったとき再び当該事業主に雇用してもらうことを希望することをあらかじめ申し出ていることが前提となります。

事業主は、子を養育している労働者の職業生活と家庭生活の両立が図れるように、特別な措置や適切な措置を講ずるための業務担当者を専任する必要があります。
これを職業家庭両立推進者と呼びます。
専任担当者がいることにより、労働者にとってはより働きやすい環境作りをしてもらえることになります。

事業主の対応

育児休業を申し出た労働者に対して事業主が行うべき対応、措置についても育児・介護休業法に規定されています。
その中には事業主のやるべき対応として、労働者に対して周知させる措置をとるようにしなければならないとあります。
それは育児休業を取得した際の労働者への待遇に関すること。
育児休業期間中の賃金の取り扱いについて、また配置や労働諸条件に関すること。
他にも厚生労働省令によって定めてあることです。
労働者が育児休業を申し出た際、事業主は厚生労働省令の定めに従い当該労働者に対してこれらの事項を明示するように努める必要があります。

さらに雇用管理に関して、事業主は育児休業を申し出た際、あるいは育児休業後の仕事が円滑に行えるように育児休業を取得した労働者の雇用管理を行わなければなりません。
それは当該労働者の事業所における配置やその他の雇用管理に関してもです。
さらに育児休業中の労働者の職業能力開発や向上を図るように必要な措置をとるようにしなければならないと定められています。

事業主は労働者の配置に関しても配慮しなければなりません。
雇用している労働者の配置変更で就業場所の変更を伴う場合、就業場所の変更をすることによって就業しながら子の養育が困難になる労働者がいるならば、この当該労働者の子を養育状況に対して配慮しなければなりません。
つまり子を養育している労働者の転居の移動を伴う転勤については、家庭の事情を考慮しなければならないということです。